本動詞と補助動詞の違いとは?日本語での見分け方をわかりやすく解説
本動詞と補助動詞とは?
日本語の動詞には、
本動詞(ほんどうし)
と
補助動詞(ほじょどうし)
という区別があります。
たとえば、次の二つを比べてみましょう。
映画を見る。
食べてみる。
どちらにも「みる」があります。
しかし、この二つの「みる」は働きが違います。
映画を見る。
の「見る」は、実際に目で何かを見るという意味を表しています。
このように、動詞本来の意味を表しているものが本動詞です。
一方、
食べてみる。
の「みる」は、実際に何かを目で見るという意味ではありません。
試しに食べる
という意味を加えています。
このように、ほかの動詞の後ろについて、文法的な意味を加える動詞を補助動詞といいます。
カメちゃん
同じ「みる」なのに、働きが違うんだね。
ツル先生
はい。「その動詞本来の意味で使われているか」が重要なポイントです。
1. 本動詞とは?
本動詞とは、動詞が本来の意味を表しているものです。

たとえば、
映画を見る。
では、「見る」が実際に目で見るという意味を表しています。
本を机の上に置く。
なら、「置く」は物をある場所に置くという意味です。
学校に行く。
なら、「行く」はある場所へ移動するという意味です。
つまり、
見る
置く
行く
といった動詞そのものが、文の中心となる具体的な意味を表しています。
これが本動詞です。
2. 補助動詞とは?
補助動詞とは、ほかの動詞などの後ろについて、文法的な意味を付け加える働きをする動詞です。

たとえば、
食べてみる。
があります。
ここでの「みる」は、
食べる
という動作に、
試しにやってみる
という意味を加えています。
つまり、
食べる
↓
基本となる動作
+
みる
↓
試しにする
という構造です。
「みる」が単独で「目で見る」という意味を表しているわけではありません。
そのため、この「みる」は補助動詞です。
本動詞と補助動詞の違い
基本的な違いを整理すると、
本動詞
↓
動詞本来の意味を表す
補助動詞
↓
ほかの動詞などについて意味を付け加える
となります。
たとえば、
映画を見る。
では、
見る=目で見る
なので本動詞です。
一方、
食べてみる。
では、
みる=試しにする
なので補助動詞です。
つまり、同じ動詞でも文の中でどのように使われているかによって、本動詞になったり補助動詞になったりします。
具体例1. 「見る」と「~てみる」の違い
「見る」は、本動詞と補助動詞の違いが非常に分かりやすい動詞です。
映画を見る。
では、本当に映画を「見て」います。
そのため、
見る → 本動詞
です。
一方、
この料理を食べてみる。
では、「食べたあとに何かを見る」という意味ではありません。
試しに食べる
という意味です。
そのため、
みる → 補助動詞
です。
比較すると、
映画を見る。
↓
見る=目で見る
↓
本動詞
料理を食べてみる。
↓
みる=試しにする
↓
補助動詞
となります。
具体例2.「置く」と「~ておく」の違い
「おく」も、本動詞と補助動詞の両方で使われます。
まず、
本を机の上に置く。
では、実際に本をある場所に置いています。
この「置く」は本動詞です。
一方、
明日のために準備しておく。
では、「準備したものをどこかに置く」という意味ではありません。
前もって準備する
という意味を表しています。
そのため、
おく → 補助動詞
です。
つまり、
本を置く。
↓
物をある場所に置く
↓
本動詞
準備しておく。
↓
前もって準備する
↓
補助動詞
となります。
具体例3.「しまう」と「~てしまう」の違い
「しまう」も比較してみましょう。
服をタンスにしまう。
では、「しまう」は物を収納するという意味を持っています。
そのため本動詞です。
一方、
ケーキを全部食べてしまった。
では、ケーキをどこかに収納したわけではありません。
「食べる」という動作に、完了などの意味を加えています。
また、
財布をなくしてしまった。
では、文脈によって残念・後悔などの気持ちが感じられることもあります。
この「しまう」は補助動詞です。
具体例4.「いる」と「~ている」の違い
「いる」も重要です。
猫が部屋にいる。
では、「いる」は人や動物などが存在することを表しています。
いる=存在する
なので、本動詞です。
一方、
猫が寝ている。
では、「いる」は単純に存在を表しているわけではありません。
寝る
という動詞と組み合わさって、
寝ている
という形を作っています。
「~ている」は、動作の進行や結果の状態など、さまざまな意味を表します。
たとえば、
田中さんが本を読んでいる。
なら、動作の進行を表すことができます。
ドアが開いている。
なら、開いた結果の状態を表すことがあります。
このような「いる」は補助動詞として働いています。
具体例5.「行く」と「~ていく」の違い
「行く」も本動詞・補助動詞の両方で使われます。
学校へ行く。
では、実際にある場所へ移動しています。
そのため、
行く → 本動詞
です。
一方、
これから日本語を勉強していく。
では、単純にどこかの場所へ移動するという意味ではありません。
これから先へ向かって継続する
という意味が加わっています。
この場合の「いく」は、補助動詞として働いています。
具体例6.「来る」と「~てくる」の違い
「くる」も同じです。
友達が家に来る。
では、友達が家へ移動してきます。
この「来る」は本動詞です。
一方、
日本語を10年間勉強してきた。
では、実際に「勉強しながらこちらへ移動してきた」という意味ではありません。
過去から現在まで、
勉強を続けてきた
という時間的な流れを表しています。
この「くる」は補助動詞として働いています。
本動詞と補助動詞を見分ける方法
本動詞と補助動詞を見分けるときは、
その動詞が本来の意味で使われているか?
を考えると分かりやすくなります。
たとえば、
映画を見る。
↓
本当に「見る」
↓
本動詞
食べてみる。
↓
実際に「見る」わけではない
↓
補助動詞
です。
同じように、
本を机に置く。
↓
本当に「置く」
↓
本動詞
予約しておく。
↓
実際に何かを「置く」わけではない
↓
補助動詞
となります。
「本来の意味が薄くなっているか」がポイント
補助動詞では、もともとその動詞が持っていた具体的な意味が薄くなることがあります。
たとえば、
みる
は本来、「目で見る」という意味です。
しかし、
やってみる
では、
試しにする
という文法的な意味を表します。
おく
も本来は、
物をある場所に置く
という意味です。
しかし、
買っておく
では、
前もって買う
という意味になります。
このような本来の具体的な意味の薄れは、補助動詞を見分ける大きなヒントになります。
前の動詞とセットになっているかを見る
もう一つのポイントは、
前の動詞とまとまって一つの意味を作っているか
です。
たとえば、
食べてみる
では、
食べる + みる
によって、
試しに食べる
という意味を作っています。
買っておく
なら、
買う + おく
↓
前もって買う
です。
忘れてしまう
なら、
忘れる + しまう
として、完了などの意味を加えます。
このように、
前の動詞 + 補助動詞
がまとまって意味を作っていることも特徴です。
補助動詞は「~て」の後ろに現れることが多い
補助動詞には、
Vて+補助動詞
という形で使われるものが多くあります。
たとえば、
食べてみる
買っておく
忘れてしまう
勉強している
続けていく
変わってくる
などです。
そのため、
動詞の「て形」の後ろに別の動詞がある
場合は、後ろの動詞が補助動詞として働いていないか確認するとよいでしょう。
ただし、
「て形+動詞」なら必ず補助動詞
というわけではありません。
補助動詞はひらがなで書くことが多い
本動詞と補助動詞は、表記にも違いが現れることがあります。
たとえば、
映画を見る。
では、本来の意味の「見る」なので漢字で書けます。
一方、
食べてみる。
では、補助動詞として使われているため「みる」とひらがなで書かれることが一般的です。
同じように、
本を机に置く。
に対して、
準備しておく。
服をタンスにしまう。
に対して、
忘れてしまう。
のような違いがあります。
補助動詞にはどんなものがある?
日本語では、さまざまな動詞が補助動詞として使われます。
| 補助動詞 | 例 | 主な意味 |
|---|---|---|
| いる | 読んでいる | 進行・状態など |
| みる | 食べてみる | 試行 |
| おく | 準備しておく | 事前準備など |
| しまう | 忘れてしまう | 完了・残念など |
| いく | 増えていく | 今後への変化・継続など |
| くる | 増えてくる | 現在に向かう変化など |
これらはすべて、本動詞として使われることもあります。
本動詞と補助動詞を比較
| 動詞 | 本動詞 | 補助動詞 |
|---|---|---|
| 見る/みる | 映画を見る | 食べてみる |
| 置く/おく | 本を机に置く | 準備しておく |
| しまう | 服をタンスにしまう | 忘れてしまう |
| いる | 猫が部屋にいる | 猫が寝ている |
| 行く/いく | 学校へ行く | 勉強していく |
| 来る/くる | 友達が来る | 勉強してきた |
同じ動詞でも、文の中での働きを見ると違いが分かります。
本動詞と補助動詞の見分け方
本動詞か補助動詞か迷ったときは、次の順番で考えてみましょう。
1. その動詞は本来の意味で使われている?
↓
はい
↓
本動詞の可能性が高い
たとえば、
映画を見る。
では、本当に「見る」という行為をしています。
一方、
2. 前の動詞に文法的な意味を加えている?
↓
はい
↓
補助動詞の可能性が高い
たとえば、
映画を見てみる。
では、「みる」が「見る」に試しにするという意味を加えています。
さらに、
3. 本来の具体的な意味が薄くなっている?
という点も確認すると分かりやすくなります。
それでは!