3分でわかる!日本語の「音便」〜 イ音便・促音便・撥音便・ウ音便をわかりやすく解説 〜
「書く」なのに、なぜ「書いて」?
カメちゃん
先生、「書く」のて形って「書いて」だよね?
ツル先生
そうですね。
カメちゃん
でも「書きます」になるなら、「書きて」でもよさそうじゃない?
ツル先生
いいところに気づきましたね。そこには「音便」という音の変化が関係しています。
カメちゃん
て形の謎ルールに名前があったの!?
日本語には、
書く → 書いて
待つ → 待って
読む → 読んで
のように、言葉が活用したり、ほかの言葉とつながったりするときに音が変化することがあります。
このような現象を、
音便(おんびん)
といいます。
今回は、日本語の音便とは何か、そして代表的なイ音便・促音便・撥音便・ウ音便について見ていきましょう。
音便とは??
音便とは、
言葉を発音しやすくするために起こった音の変化
です。
日本語の歴史の中で、言葉を続けて発音するときに音が変化し、その形が定着したものがあります。
現代の日本語学習で特に分かりやすいのが、動詞のて形・た形です。
たとえば、
書く → 書いて
書く → 書いた
となります。
カメちゃん
「書いて」は最初から謎の活用として存在しているわけじゃないんだ。
ツル先生
そうです。歴史的な音の変化が、現在の活用にも残っているんです。
音便には4つの代表的な種類がある
日本語の音便は、一般に次の4種類に分けられます。
- イ音便
- 促音便(そくおんびん)
- 撥音便(はつおんびん)
- ウ音便
カメちゃん
イ、促音、撥音、ウ……急に名前が難しい。
ツル先生
名前よりも、実際にどんな音になるのかを見ると分かりやすいですよ。
イ音便とは?
イ音便とは、音が「イ」の音に変化する音便です。
動詞では、
書く → 書いて
が代表的です。
また、
泳ぐ → 泳いで
のような変化もあります。
現代の日本語学習では、
- 書く → 書いて
- 聞く → 聞いて
- 歩く → 歩いて
- 泳ぐ → 泳いで
- 急ぐ → 急いで
などとして覚えます。
カメちゃん
「く → いて」「ぐ → いで」って覚えてたやつだ!
ツル先生
そうです。その背景にイ音便があります。
ここで注意したい動詞があります。
行く
です。
「書く」が、
書く → 書いて
なので、
行く → 行いて
になりそうですが、現代の標準語では、
行く → 行って
となります。
カメちゃん
出た、例外。
ツル先生
よく使う動詞なので、「行く → 行って」はそのまま覚えておきましょう。
促音便とは?
促音便とは、音が小さい「っ」になる音便です。
たとえば、
待つ → 待って
取る → 取って
買う → 買って
などです。
現代の動詞のて形では、
- 待つ → 待って
- 持つ → 持って
- 取る → 取って
- 帰る → 帰って
- 買う → 買って
- 使う → 使って
などに現れます。
カメちゃん
「う・つ・る → って」って覚えるところだね。
ツル先生
そうですね。学習上のルールと「促音便」という言語現象がつながってきましたね。
撥音便とは?
撥音便とは、音が「ん」になる音便です。
たとえば、
読む → 読んで
遊ぶ → 遊んで
などです。
- 読む → 読んで
- 飲む → 飲んで
- 遊ぶ → 遊んで
- 呼ぶ → 呼んで
のようになります。
カメちゃん
これは「む・ぶ・ぬ → んで」だ!
ツル先生
そのとおりです。「ん」という撥音が現れるので「撥音便」と呼ばれます。
カメちゃん
先生、ちょっと待って。「読む」は「読んて」じゃなくて「読んで」だよね?
ツル先生
よく気づきましたね。
撥音便が起こる動詞では、
読む → 読んで
遊ぶ → 遊んで
のように、後ろの「て」も「で」になります。
また、「ぐ」で終わる動詞でも、
泳ぐ → 泳いで
急ぐ → 急いで
となります。
そのため、て形を覚えるときには、
- く → いて
- ぐ → いで
- う・つ・る → って
- む・ぶ・ぬ → んで
- す → して
という形で整理することができます。
カメちゃん
じゃあ「話す → 話して」は何音便?
ツル先生
これは、通常は音便として扱いません。
話す → 話して
では、「し」がそのまま残っています。
そのため、
す → して
はて形を作るルールの一つですが、イ音便・促音便・撥音便のような音便とは区別して考えます。
カメちゃん
て形の変化が全部「音便」ってわけじゃないんだ。
ツル先生
そういうことです。
ウ音便とは?
もう一つがウ音便です。
ウ音便は、音が「ウ」の音に変化する現象です。
現代の標準語の動詞のて形では、イ音便・促音便・撥音便ほど目立ちません。
しかし、日本語の歴史や方言、特定の表現などを見るとウ音便が現れます。
たとえば、形容詞の歴史的な変化では、
早く → 早う
ありがたく → ありがとう
のような変化を見ることができます。
カメちゃん
「ありがとう」にも音便が関係してるの?
ツル先生
そうです。「ありがとう」の歴史をたどると、形容詞「ありがたい」のウ音便と関係しています。
音便を知ると「て形」が暗記だけではなくなる
日本語学習では、1グループのて形を、
- く → いて
- ぐ → いで
- う・つ・る → って
- む・ぶ・ぬ → んで
- す → して
と覚えることがあります。
もちろん、このルールを覚えることは実用的です。
しかし、音便を知ると、
なぜ動詞によって「いて」「って」「んで」のように形が違うのか
という背景も見えてきます。
- 書く → 書いて:イ音便
- 待つ → 待って:促音便
- 読む → 読んで:撥音便
というように整理できます。
カメちゃん
今まで別々に暗記してた「て形」が、音の変化としてつながってきた。
ツル先生
文法のルールの背景に、音の歴史があるわけですね。
音便は「間違った発音」ではない
カメちゃん
発音しやすいように変わったなら、昔の人が言葉を省略したってこと?
ツル先生
単なる言い間違いや省略というわけではありません。
言語では、長い時間の中で発音が変化することがあります。
その変化が多くの話者に共有され、定着すると、やがてその形自体が言語の規則になります。
現在、
書いて
待って
読んで
と言うのは、もちろん正しい日本語です。
音便は、日本語が歴史の中で変化してきた痕跡の一つなのです。
まとめ
ツル先生
最後に整理しましょう。
音便とは、言葉の活用やつながりの中で起こる音の変化です。
代表的なものには、
- イ音便:書く → 書いて
- 促音便:待つ → 待って
- 撥音便:読む → 読んで
- ウ音便:早く → 早う など
があります。
現代日本語の動詞では、特にて形・た形を理解するときに、音便との関係が見えてきます。
カメちゃん
つまり「書く→書いて」「待つ→待って」「読む→読んで」は、適当に変わってるわけじゃなかったんだ。
ツル先生
はい。日本語の歴史の中で生まれた音の変化です。
カメちゃん
て形にちょっと謝りたくなってきた。ずっと謎ルールだと思ってた。
ツル先生
覚える必要があることに変わりはありませんよ。