日本語の使役形とは?1・2・3グループ別の作り方と使い方を解説
使役形(しえきけい)とは?
日本語には、
食べる → 食べさせる
行く → 行かせる
勉強する → 勉強させる
のように、動詞を使役形にすることができます。
使役形は基本的に、
誰かに、ある動作をさせる
ことを表します。
たとえば、
子どもが野菜を食べます。
という文があります。
これを使役文にすると、
母が子どもに野菜を食べさせます。
となります。
もとの文では、
子ども → 野菜を食べる
という関係でした。
使役文では、
母 → 子どもに → 野菜を食べさせる
となります。
つまり、使役文ではその動作を行わせる人が加わります。
ただし、使役形は「誰かに無理やり何かをさせる」ときだけに使うわけではありません。
- 強制
- 許可
- 原因
など、さまざまな意味を表すことができます。
カメちゃん
「~させる」って、「無理やりやらせる」という意味だけじゃないの?
ツル先生
はい。「許可」や「原因」を表す使役もあります。まずは使役形の作り方から見てみましょう。
使役形の作り方
使役形の作り方は、
- 1グループ
- 2グループ
- 3グループ
によって異なります。
基本を表で確認してみましょう。

| グループ | 基本的な作り方 | 例 |
|---|---|---|
| 1グループ | ない形の「ない」を取って+せる | 書く → 書かせる |
| 2グループ | 「る」を取って+させる | 食べる → 食べさせる |
| 3グループ | 特別な形 | する → させる 来る → 来させる |
1. 「1グループ動詞の使役形」
1グループ動詞では、ない形を利用すると簡単に作ることができます。
ない形の「ない」を取る
↓
「せる」を付ける
と考えます。
たとえば、
書く
のない形は、
書かない
です。
書く
↓
書かない
↓
書か+せる
↓
書かせる
となります。
1グループ動詞の例
ほかの動詞でも確認してみましょう。
読む
↓
読まない
↓
読ませる
話す
↓
話さない
↓
話させる
待つ
↓
待たない
↓
待たせる
泳ぐ
↓
泳がない
↓
泳がせる
遊ぶ
↓
遊ばない
↓
遊ばせる
帰る
↓
帰らない
↓
帰らせる
となります。
「買う」は「買わせる」になる
1グループ動詞で注意したいのが、
う
で終わる動詞です。
買う
のない形は、
買わない
です。
そのため、
買う
↓
買わない
↓
買わせる
となります。
同じように、
会う → 会わない → 会わせる
使う → 使わない → 使わせる
となります。
2. 「2グループ動詞の使役形」
2グループ動詞では、
「る」を取る
↓
「させる」を付ける
と考えます。
たとえば、
食べる
↓
食べ
↓
食べさせる
となります。
ほかにも、
見る → 見させる
起きる → 起きさせる
寝る → 寝させる
教える → 教えさせる
などがあります。
3. 「3グループ動詞の使役形」
3グループ動詞は、
する
来る
です。
この二つは特別な形になるため、そのまま覚えましょう。
する
↓
させる
来る(くる)
↓
来させる(こさせる)
となります。
「する」を使う動詞も同じです。
- 勉強する → 勉強させる
- 練習する → 練習させる
- 掃除する → 掃除させる
となります。
使役文には「強制・許可・原因」がある
使役形の形が分かったところで、次は使役文が何を表すのかを見てみましょう。
使役文の意味の分類方法は文法書などによって異なりますが、基本的な使い方を理解するなら、
- 強制
- 許可
- 原因
という三つに分けて考えることができます。
1. 強制 ― 本人の意思とは別に動作をさせる
使役の代表的な用法が強制です。
たとえば、
母親が子どもに掃除をさせました。
という文があります。
もとの動作は、
子どもが掃除する
です。
そこに「母親」が加わり、
母親が子どもに掃除をするよう働きかける
という関係になります。
子どもが掃除する
↓
母親が子どもに掃除をさせる
です。
ほかにも、
警察官が不審車を停止させました。
先生が学生に作文を書かせました。
などがあります。
このような使役では、使役する側からの命令・指示・強い働きかけなどが考えられます。
2. 許可 ― 本人がしたいことをさせる
使役形は、強制とは反対に許可を表すこともあります。
たとえば、
母親が子どもを公園で遊ばせました。
という文です。
この場合、
母親が子どもに無理やり遊ぶよう命令した
とは限りません。
むしろ、
子どもが遊びたい
↓
母親がそれを認める
↓
子どもを遊ばせる
という意味になることがあります。
ほかにも、
今日は子どもを好きなだけ寝させました。
本人のやりたいことをやらせることにしました。
などがあります。
つまり、同じ「~させる」でも、
強制
なのか、
許可
なのかは文脈によって変わります。
3. 原因 ― ある事柄が別の出来事を引き起こす
使役には、強制や許可とは性質の異なる使い方もあります。
ある出来事や事柄が原因となって、別の出来事・状態を引き起こす
という使い方です。
たとえば、
その知らせは私を驚かせました。
という文があります。
「知らせ」が私に、
驚け!
と命令しているわけではありません。
その知らせ
↓
原因
↓
私が驚く
という関係です。
つまり、
その知らせによって、私は驚いた
という因果関係を使役形で表しています。
たとえば、
志望校に合格したことは、両親をとても喜ばせました。
という文があります。
ここでも、
合格した人が両親に「喜べ」と命令した
わけではありません。
志望校に合格したこと
↓
原因
↓
両親が喜ぶ
という関係です。
つまり、
ある事柄が原因となって、ある感情・状態が生じる
ことを使役形で表しています。
原因を表す使役には、次のようなものがあります。
そのニュースは世界中の人々を驚かせました。
彼の冗談はみんなを笑わせました。
その知らせは家族を悲しませました。
彼の行動は両親を困らせました。
全員の努力がプロジェクトを成功させました。
これらでは、
驚く
笑う
悲しむ
困る
成功する
という出来事・状態を、何らかの原因が引き起こしています。
この用法を見ると、
使役=人が人に何かを命令する表現
ではないことがよく分かります。
強制・許可・原因を比較
| 用法 | 基本的な意味 | 例 |
|---|---|---|
| 強制 | 相手にある動作を行わせる | 母親が子どもに掃除をさせた |
| 許可 | 相手がある動作をすることを認める | 母親が子どもを公園で遊ばせた |
| 原因 | ある事柄が別の出来事・状態を引き起こす | その知らせは私を驚かせた |
強制と許可では、
人 → 人 → 動作
という関係が中心になります。
一方、原因では、
原因となる事柄 → 結果となる出来事・状態
という因果関係が中心になります。
使役形には短縮形もある
日本語では、使役形に短縮された形が使われることがあります。
たとえば、
書かせる → 書かす
読ませる → 読ます
食べさせる → 食べさす
見させる → 見さす
などです。
また、
させる → さす
来させる → 来さす
のような形もあります。
このような形は、使役の短縮形・縮約形などとして扱われます。
ただし、日本語学習ではまず、
~せる
~させる
という基本的な使役形を覚えるとよいでしょう。
まとめ
使役形は、
書く → 書かせる
食べる → 食べさせる
する → させる
のように作ります。
作り方は、
1グループ
↓
ない形の「ない」を取る+せる
2グループ
↓
「る」を取る+させる
3グループ
↓
する → させる
来る → 来させる
です。
また、使役文には、
強制
許可
原因
などの用法があります。
カメちゃん
「母が子どもに勉強させる」も「ニュースが私を驚かせる」も使役なんだね。
ツル先生
はい。「誰かに命令する」だけでなく、「何かが別の出来事を引き起こす」というところまで見ると、使役の仕組みが分かりやすくなります。